SmartNews Marketing Meetup vol.3 〜ブランド広告の価値を上げるには?

ここ数年、国内広告市場をけん引しているのが、インターネットを使ったデジタル広告です。
中でもスマートフォン広告市場は毎年二桁の成長を続けており、CyberZの発表によると、2014年(3008億円)から2015年は3717億円と前年比123.6%となり、2020年には7527億円まで成長すると見られています。

その成長を支えているものは何でしょうか。当社・スマートニュースが広告事業を開始したのは2014年12月ですが、そこから1年半以上経つ中で、広告主の方が抱く「スマートフォン広告への期待」が日に日に高まっていることを肌で感じています。

特に期待されているのが、「ブランド広告としてのスマートフォン広告」というニーズです。当社ではこうした広告主の意向に応えるため、今年6月にはブランド広告責任者として、デジタル広告業界の第一人者である菅原健一を迎え、ブランド広告戦略支援に取り組んでいます。

この8月25日に開催された「SmartNews Marketing Meetup」のテーマは「ネイティブ広告ならびにブランド広告の可能性を考える」こと。ニュースアプリ「SmartNews」の「キャリアチャンネル」のスポンサーであるエン・ジャパン様、「ビューティーチャンネル」スポンサーの資生堂ジャパン様、そして「トラベルチャンネル」を運用しているJALブランドコミュニケーション様と共に、SmartNewsが実現する新たな広告コミュニケーションのあり方と、最新事例をご紹介しました。

●ブランド広告として進化するネイティブ動画広告
smt03_01最初のセッションは「-イベント[NATIVE]に参加した- 最新の海外のネイティブ広告最前線」と題して、当社執行役員 広告事業開発担当/シニア・ヴァイス・プレジデントの川崎裕一が登壇しました。このセッションのテーマは、インフィード広告を含むネイティブ広告や、動画広告が持つブランド広告価値についてでした。

通常、デジタル広告の中でブランド広告といえば、ブランドイメージを視覚で訴求できるバナー広告(ディスプレイ広告)が一般的です。ところがこれに対し、ネイティブ広告は「ブランド理解を促進する」という目的において、大きな役割を果たすことが判明しました。

「理解を促す要素として、特にテキスト(文字)が果たす役割は大きい」と川崎は語り、「ネイティブ広告の場合、ブランドの文脈の中で理解を促すワードやコピーを散りばめることで、ディスプレイよりもブランド理解や想起を促すことができます」と説明します。実際、ある調査によると、ディスプレイ広告の伸びは横ばいが続く中、2020年にはネイティブ広告市場は拡大傾向にあり、3兆3000億円規模になると見られているそうです。

smt03_02この流れに拍車をかけているのが、動画フォーマットです。動画広告は、スマホ広告におけるブランド広告のフォーマットとしてかねてから注目されていました。近年米国では、ネイティブ広告のフォーマットが整備されており、特に動画フォーマットの動きが活発になっています」(川崎)といいます。

さらに「米国では、こうした動きの中、ネイティブ広告のプログラマティック・バイイングも進んでおり、特にプライベート・マーケットプレイスでの取引が盛んだそうです。この動きは、今後日本のスマホ広告市場でも加速するでしょう。講演で川崎は「スマートニュースもこうした動向を見据え、将来的にはネイティブ動画広告のプログラマティック・バイイングに対応していくかもしれません」と示唆しました。

ただし、動画フォーマットにすれば即ブランド訴求につながるわけではありません。川崎は「動画の場合、最初の7秒でブランドの想起・認知・購買意欲の70%まで到達するといわれています」と説明します。

加えてスマホネイティブといわれるミレニアル世代のユーザは、動画はFacebookのフィードなどで流れてくるインスタント・プレイといわれる自動再生で視聴するのが当たり前、しかも音声はオフにするという、きわめて受け身な視聴が主流となっています。SmartNewsの動画広告もインスタント・プレイ方式です。当社では、最初の7秒でブランド価値を印象付け、購買意欲を訴求するために何が必要か、広告主の皆様と共に考え、最適な広告商品をご提案していきたいと考えています。

●SmartNewsはなぜブランドの価値を最大化できるのか
smt03_03続いて「スマートニュースでできるブランド価値最大化の方法とは?」というテーマで登壇したのは、ブランド広告責任者の菅原健一です。「ブランド広告の価値は、『認識→理解→共感』というプロセスを経て最大化できるもの」という視点で、スマートニュースが提供できる広告価値について語りました。

菅原は「ブランド価値を伝えるためには『誰に対して訴えるか』『どうやって訴求するか』という2点を考えてストーリーテリングする必要がある」と説明します。その上で、スマホ広告でブランド価値を伝えるために必要な要素として、「可処分時間」「ターゲット」「コンテンツ」を考える必要があるといいます。

可処分時間とは、ユーザが自由に使える時間の中から、広告を展開するスマホアプリとのエンゲージメントを確保してもらうということです。仮にスマホアプリに従事する時間が少なければ、その中で広告を展開しても、読んでもらう時間はほとんどないといっていいでしょう。

ターゲット(広告を訴求したい層)やコンテンツについても同様に、若い層や性別などに偏りがあるより、幅広い中から条件に合う層に絞り込んでいき、それに合わせたメッセージやコンテンツをさまざまな切り口で提示することで、より幅広い層に、確実にブランドを訴求できます。

smt03_04菅原は「SmartNewsの場合、月間530万DAUで、アプリへのエンゲージメント時間は1日平均9.3分となっています。実は一般的なニュースアプリの平均時間は4分といわれていますが、4分の間で動画広告を見せたり、読了まで数分かかる広告コンテンツを読んでもらうことは、難しいと言わざるをえません。SmartNewsの場合、記事だけでなく、コンテンツとしての広告をしっかり読んでもらう時間を確保しています」と語り、またSmartNewsのユーザ特性として、日本の人口分布図に則ってどの年代にも幅広く普及していることを説明しました。

さらに、SmartNewsの一押し広告コンテンツとして挙げたのが「スポンサードチャンネル」です。スポンサードチャンネルとは、SmartNewsが提供するチャンネルへの広告出稿を独占契約できる広告商品で、自社商品やブランドの特性にあったチャンネルを選ぶことで、認知度向上だけではない新たな価値を訴求できます。たとえば資生堂ジャパン様は、「ビューティー」というチャンネルのスポンサードとなっていますが、これは直接的な商品の訴求というより、「美容」というブランドの大きなテーマを、毎日のニュースコンテンツとしてアピールする役目を担っています。

SmartNewsではこの8月、新たに「自動車」チャンネルをスタートしました。これは自動車に関心があるユーザが集まるチャンネルで、ここに集まるユーザをさまざまな目的に合わせてターゲティングしたい広告主の方を募集しています。単純な「人数」ではなく、「自動車ファン」というターゲティングされた層に、どのような切り口でどんな訴求していくのかが鍵になります。

菅原は最後に「最終的には、いい記事(コンテンツ)を提供するパブリッシャーとブランドの融合を促進することで、ブランドの持つ良質なコンテンツをパブリッシャーに提供し、さらに良質な記事が生まれる循環を実現したい」と話し、講演を締めくくりました。

●日々多様な切り口でエンゲージメントを深化する「スポンサードチャンネル」
続いて登場したのは、SmartNewsの「キャリア」チャンネルのスポンサードとなっているエン・ジャパン株式会社 デジタルプロダクト開発本部 プロモーション部 部長 田中 奏真様、同社のマーケティング支援を行っているFringe81株式会社の松島稔様です。ここでは、より具体的にSmartNewsの広告商品を活用してブランド価値最大化を実現した成功要因を探っていきます。

smt03_05(左からエン・ジャパン 田中様、Fringe81 松島様)

エン・ジャパン様が事業を展開する上で大事にしているコンセプトは「入社後活躍」です。採用がゴールではなく、転職者の活躍・定着までを支援することで、「入社者の人生の充実」と「企業の業績への貢献」を目指しています。そのために、求人サイトや人材紹介など、複数のWebサービスを運営しています。
しかし、求職者がそれらのサービスを知らなければ、その想いは届きません。そこで、「仕事・転職などキャリアに関する情報」の発信を強化することにし、SmartNewsの「キャリア」チャンネルをスポンサードすることに決めたそうです。

田中様は、「スマホ経由で転職に成功したユーザー層は、ニュースメディアとの親和性が高かった。そこで、ニュースアプリとの連携を模索して、読者から支持を集めているSmartNewsを選びました」と説明します。また、広告クレジット表記についてもいち早く取り組むといった事業姿勢についても、高く評価していただきました。

●エン・ジャパンのキャリアチャンネル利用者数は8.9倍、閲覧率は1.4倍に
エン・ジャパン様がキャリアチャンネルのスポンサードになったのは2015年の7月です。開始に当たり、社内では「コンテンツ提供を通じて、ユーザーの『新しい発見』に貢献する」という姿勢を定義し直したそうです。「キャリアチャンネルの読者は、キャリアに関する有益な情報を求めている。そのため、たとえ当社の競合サービスが提供している記事が配信されていても問題なし。このチャンネルが読者に支持されるように、役立つ情報を届けていくというスタンスで公式スポンサーになりました」(田中様)と述べ、キャリアチャンネル利用者数8.9倍、記事閲覧率(一人のユーザが一セッションで一つでも記事を見る率)は1.4倍に増加しました。

●キャリアチャンネル利用者数が伸びた理由
エン・ジャパン様は、転職支援サービス「エン転職」のほか、「ミドルの転職」「カイシャの評判」「CAREER HACK」など、多数のメディアを運営しています。田中様によると、SmartNewsのキャリアチャンネルでは、この1年間で1000回以上のA/Bテストを実施して、掲載するコンテンツの効果を評価してきたそうです。

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「記事のテーマによっては、平日と休日で読者の反応が異なります。たとえば『書類選考を通過するには』というテーマでは、休日のほうが効果的。転職者が書類を準備するのは時間を確保できる週末が多いためです」(田中様)など、効果を上げる運用法もわかってきました。

また、SmartNewsのトップ画面で効果が良かった広告をキャリアチャンネルで配信しても、「必ずしも、同じ効果が得られるとは限りません」(田中様)と説明します。「チャンネル別に読者層が異なるので、その点を考慮した上でコンテンツを選ぶと大きな反応を得られました」(田中様)と述べ、中でも「30代・40代、年収が高い層」との相性はかなり良く、ミドル世代の転職を支援する「ミドルの転職」の利用者が1.5倍になったそうです。

このスポンサードチャンネルでの取り組みから、エン・ジャパン様はブランド価値向上へのプロセスを築きつつあります。

そのプロセスの第一歩は「ユーザーに必要とされるコンテンツを真摯に作り、適切な方法で届ける」ことです。田中様は「広告主が伝えたいことではなく、ユーザーに有益な情報を適切なタイミングで届けることが重要です。また、単にバズるためのコンテンツではなく、『キャリアチャンネルのコンテンツを通じて読者の役に立つ』ことを考え、良質なコンテンツを提供していくことが大切です」といいます。
また広告クレジットの重要性についても、「ユーザーに必要とされる良い情報であれば、きちんとクレジットをつけたほうが、ユーザー・メディア・広告主の間で信頼を築ける」(田中様)と述べています。

さらに、「そのコンテンツが本当に有益だったかどうか、データで検証しなくてはなりません。ただ、データでわかるのは、その記事がいつどれだけ誰に読まれたかという実績値です。当社では定期的に転職者にインタビューをして、データでは見えてこない意見も参考にして、コンテンツの有益性を判断しています」(田中様)。

こうした運用を毎日することで、「次にユーザーが求めるコンテンツを発見する」というサイクルが生まれます。田中様は最後に、「正直、この運用はとても大変です。ただ、ニュースアプリという特性上、毎日新しい切り口の情報や速報性が必要とされます。『読者に有益なコンテンツを提供する』という姿勢を持ち続けることが、ブランド価値の向上につながると考えています」と締めくくりました。

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エン・ジャパン様の取り組みを支えているのが、Fringe81の松島様です。松島様は「ポイントは、ブランド価値を上げるために広告出稿の“フォーカス”をしっかり決めることです」と説明します。媒体特性や、施策実行の方向性を固めることはもちろん、得られた結果の見きわめ方や改善プロセスをしっかり定義することが必要です。また「コンテンツ戦略の実行に当たっては、理想だけでなく、現実問題として納期に間に合う工数が取れるかどうか、厳しく判断することも重要です」と語りました。

●ユーザが求めるコンテンツでブランド価値を最大化する
最後のパネルディスカッションは、川崎をモデレータとし、エン・ジャパンの田中様に加え、資生堂ジャパン株式会社 コミュニケーション統括部 企画グループ 中條 裕紀様、そして株式会社JALブランドコミュニケーション Web戦略部 マーケティンググループ坂東加奈子様を迎えてのセッションとなりました。

smt03_08(左から弊社川崎、エン・ジャパン 田中様、資生堂ジャパン 中條様、JALブランドコミュニケーション 坂東様)

資生堂ジャパン様は、生活者の興味・関心を「ビューティー全般」「商品カテゴリ周辺」「ブランド・商品」と分けた場合、SmartNewsのビューティーチャンネルは他のメディアでは実現が難しい、 最もブランド商品から離れた領域で365日繋がりを持てるメディアと位置付けています。

またJALブランドコミュニケーション様は、「(ソーシャルとの役割分担として)旅行は好きだけどJALのファンではない人を対象に、定常的にアプローチできるリードナーチャリングが一番のメリットとして考えています。その目的は、もちろん旅行モチベーションを刺激することも考えていますが、まずは、JALに親しみを持ってもらう、JALとの距離感を近づける=旅行のモチベーションが上がったときにJALを選択肢のひとつにしてもらう」(坂東様)として、定期的なコミュニケーションを図るためにSmartNewsのトラベルチャンネルを活用しています。

エン・ジャパン様は、この直前のセッションでお話しされたとおり「その日の朝のニュースによって、出すコンテンツを変更することもある」というほどきめ細かい運用をされており、高い効果を得ています。いずれも、「美容」「旅行」「転職」というブランドテーマについて、SmartNewsのスポンサードチャンネルを経由して、そのテーマに関心があるユーザにさまざまな切り口で訴求しています。

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スポンサードチャンネルを展開した各社とも「CTRを上げるには、商品やブランドをダイレクトに訴求する広告より、そのチャンネルを訪れるユーザが求めるコンテンツを出していくことが重要」と口をそろえて説明します。

ただ、ニュースアプリという日々接するアプリの中で、ブランドが訴えたい価値やスタイルを毎日さまざまな観点で打ち出せるということは、それだけユーザとのエンゲージメントを深化することにつながります。

SmartNewsのスポンサードチャンネルは、ブランドが持つ良質なコンテンツを必要とするユーザに確実にお届けする架け橋となり、ブランドとユーザの結びつきを高める唯一無二の広告ソリューションなのです。

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smt03_12(Meetup終了後、懇親会の様子)

SmartNewsの広告商品やスポンサードチャンネルにご興味のある方は、次回の「SmartNews Marketing Meetup」にぜひお越しください! なお広告に関しては、こちらからご質問、お問い合わせも受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。みなさまの次回の参加をお待ちしております♪