海外事例から考えるネイティブ動画広告のこれから ユーザーにとって最適な広告体験とは

スマートニュースで広告セールスを担当しています、冨田です。

マーケティングトレンドとも言える「動画広告」ですが、当社でも昨年12月の広告事業スタート時より「PremiumMovieAds」として提供しており、主に認知獲得やブランディングを目的とするナショナルクライアント様から、沢山のご出稿を頂いております。

インターネット利用の中心がスマートフォンに移る中で、コンテンツやUIに広告をより馴染ませる「ネイティブ」という概念が急速に浸透しています。限られた画面条件の中で、クリエイティブにいかに奥行きをもたせることができるか。その代表的なメディアフォーマットが「動画」であると言えるでしょう。

動画は伝えられる情報量が多いだけでなく、幅広い表現技術によって人の心を動かすことが可能な訴求力の強いメディアです。スマホ時代において「動画広告」が求められるのは非常に理にかなっていることであり、今後さらに多様な形で市場拡大が続くと思われます。

そこで今回は、海外メディアサイドの動画広告への取り組みを中心に紹介しながら、今後のスマートフォンにおける広告フォーマットとしての「動画」について考えてみたいと思います。

AutoPlayでコンテンツと親和性の高い広告を表示(米Yahoo!)

インフィードにおけるAutoPlayの動画広告はFacebookが先行している印象ですが、米Yahoo!も今年の4月にプロダクトをローンチしました。

上記デモビデオをからも分かる通り、フィード上のニュースコンテンツと同様なフォーマットかつAutoPlayで動画広告が現れます。ここまではUIに対してネイティブな実装ですが、さらに「トラベル」というカテゴリで、コンテンツとしても親和性の高い広告を示唆します。枠よりも人を重視してきたアドテクの流れの中で、広告をよりコンテンツとして楽しんでもらうという意味での「ネイティブ」な広告というのは、このように「出面」も含めていかに最適なユーザー体験を提供するかという視点も重要です。

[参照] Adding New Video Ad Formats For Advertisers and App Marketers

アニメーションをユーザーのコントロール下に(Pinterest)

Pinterestが提供するのは「Cinematic Pins」と呼ばれるアニメーションフォーマット。特徴的なのは、ユーザーがPinのフィードをスクロールしている時だけアニメーションが動くというもの。ぜひ上記デモビデオをご覧ください。

彼ら曰く「ほとんどのユーザーはAutoPlayが好きではない」。広告のアニメーションをユーザーのコントロール下に置くことで、ユーザー体験が向上するとしています。FacebookやYahoo!のリッチな実装に比べると、「動画」というよりは「動くサムネイル」といった印象です。

Tap to Playなのか、AutoPlayなのか、あるいはこのスクロール型なのか。「動画」というフォーマットにおいて、広告との「出会い」を演出する手法は、各サービス/アプリのユーザー体験にマッチしたものを選ぶべきでしょう。

[参照]Pinterest Unveils Flurry of Ad Products, Names Monetization Exec

デバイス特性を生かして臨場感を表現(Instagram)

最後にご紹介するのはInstagramです。彼らの提供する動画広告は、実装においてはものすごく普通(笑)ですが、動画広告のローンチ時に発表された4つのメジャーブランドの動画クリエイティブがその特徴を際立たせています。

DisneyとCall of Dutyの事例を上記に掲載しましたが、4つのブランドのうち3つはすべて一人称視点で作成されています。スマホでご覧いただくとお分かりいただけるはずですが、特にCall of Dutyは臨場感がすごいですね。これは、今までモバイルのユーザー体験に特化してきた彼らならではのことで、当然広告においてもUIは脇役でコンテンツが主役という強い意思表示を感じます。没入感が強いデバイス特性を生かした、非常にアテンションの高い広告体験ではないでしょうか。

テレビからスマホへ、デバイス特性を考慮した動画クリエイティブというのはまだまだこれからという段階ではあるものの、スマートフォンに特化した動画の制作ニーズ、そしてスマートフォンのユーザー体験に合わせたクリエイティビティが、今後さらに求められるようになることでしょう。

[参照]Instagram’s Video Ads Are Finally Live, and Here Are 4 From Major Brands