スマートニュースが目指す社会と「公共性」のあり方

スマートニュースのグロースと公共領域を担当している望月と申します。

2012年12月のリリースから2年半がたち、今では毎日200万人以上の方にSmartNewsをお使いいただいています。こうしたプロダクトの成長を、どのように社会に還元していけるだろうかと、私たちは日々考えをめぐらせています。SmartNewsが社会のために何ができるか、その根っこにある考え方について少しだけお話させてください。

6f6607bf-abd1-5b7f-47cd-8ea9a274aa6e

「自分ごと」と感じにくい問題が増えた理由

「公共性」という言葉があります。この言葉を聞いてどんな意味を思い浮かべるでしょうか。自分の身の回りで起きている小さな出来事と、世の中で起きている大きな出来事との間に隔たりがあって、後者については自分には関係ないと感じることがありますね。たとえば、年金や生活保護といった社会保障の問題、中東で起きている紛争の問題、そして最先端のテクノロジーの話題もそうかもしれません。毎日のニュースで見聞きしてはいるものの、自分に直接関係しているとは感じにくい話題も多いと思います。

ドイツのハーバーマスという哲学者はこうした感覚を「生活世界」と「システム」のズレとして定式化しました。自分自身が関与することで変えることができる生活世界と、自分一人の力ではどうにもならないシステム。生まれた場所から離れることなく一生を終える人ばかりだった時代には、こうした感覚のズレは今ほど大きくなかったはずです。近代になってさまざまな場所がつながり合い、社会がさまざまな機能に分化し、そして住む場所や職業、生き方を一人一人が選ぶ時代になったことで初めて生まれてきた感覚なのです。

大事なのは「自分たちで変えられる」感覚

「ニュース」やニュースを運ぶ「メディア」というものは、そうした時代において互いに直接関わり合いのない人々をつなげる社会的な機能を担ってきました。会ったことがない人同士が新聞やテレビ、雑誌を読んで同じ社会的な問題に関心をもつ。これは、大規模な情報の流通なくしては起こりえなかったことではないでしょうか。

4d95b0fb-879c-37d9-5245-25a6e3ae62d3

「公共性の感覚」というのは、一見自分には関係がなさそうな社会問題について、それらを単に知っているだけでなく「自分たちの問題」であると感じ、そして「自分たちで解決することができる問題」であると感じることをさします。生活世界とシステムのズレを乗り越えようとする意識、と言い換えることもできるかもしれません。

小さなアクションの積み重ねが大きな変化を生む

こうした公共性の感覚を育むために、スマートニュースとして何ができるでしょうか。もちろん、良質なニュースを日々配信し続けることが根幹にあることは変わりません。それに加えて、SmartNewsのユーザーに社会の様々な問題を知ってもらえるように、そしてその問題に関わる方法を知ってもらえるように、一つずつアクションを起こしていきたいと思っています。

4月25日 ネパール大地震

60f62246-9692-130e-b990-3deb441ea43a e4a50719-8654-36d1-50fc-7bea18ec4828

4月25日にネパールで大地震が発生し、被害の大きさが伝えられました。そこでSmartNewsでは、日本版・米国版のトップページや広告枠などから、赤十字やユニセフをはじめとする7団体の募金ページに誘導をかけました。

日本国内はもちろんのこと、ほかの国や地域で大きな災害が発生した際には、今後も私たちができる最大限の支援をしていくとともに、ユーザーのアクションを喚起していきます。そして、関連する団体との連携をさらに深めていきます。

6月21日 世界ALSデー

36e0050f-5e9d-3464-4aa6-ac4d6125af24

6月21日の「世界ALSデー」には、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病の認知拡大に貢献するため、クラウドファンディングで制作された動画を配信しました。

ALSにかかる確率はとても低く、日本の患者数は1万人弱と言われていますから、人口の0.01%以下です。しかし、一定の確率で罹患する人が出てしまう病気は、ALSに限らず世界に数多く存在します。「自分は99.99%の側だから良かった」で終わらせず、そうした事実にもっと目を向けてもらうきっかけ作りに貢献していきたい。社会全体として何か打つ手はないのか、そしてその不幸が降りかかってしまった人たちにはどんなサポートができるのか、一人一人が当事者意識をもって考えられるような社会を目指します。

「Public」を旗印として

28a67d95-a798-6f6e-dac0-9f767ef8bb98

私たちは、SmartNewsでのこうした取り組みを総称して「SmartNews Public」と呼んでいます。Publicというのはもちろん公共性という意味です。世界中で何十億ものスマートフォンが利用される時代の中で、Publicという言葉を旗印としながら、SmartNewsの成長をより良い社会づくりにつなげるアクションを一つずつ積み重ねていきます。

 

■SmartNews Public に関する問い合わせ先

グロース/パブリック担当 望月 hiroki.mochizuki@smartnews.com