「編集する〜情報を編むチカラ〜」SmartNews Contents Creators Meetup vol.3イベントレポート

こんにちは。スマートニュースの紫原です。今日は、去る11月26日に開催されたイベント、SmartNews Contents Creators Meetup vol.3の模様をレポートします。

SmartNews Contents Creators Meetupとは?

このイベントは、「コンテンツの創り手を尊重する」をモットーに掲げるスマートニュースが、クリエイターの皆さんの活動をサポートする目的で定期的に開催しています。

<過去のイベントレポート>

今回のテーマは「編集」

第3回となる今回のテーマは「編集する〜情報を編むチカラ〜」です。
現在ネット上では、個人クリエイターの作品が注目を集め、商業メディアに掲載される機会が増えてきています。また、ネットのクリエイターが、書籍を出す、テレビ・ラジオ出演するなど、メディアの垣根を超えて活動するようになるケースも少なくありません。プロかアマかの垣根がこれまでにも増して曖昧になりつつある今、個人での活動と、商業メディアでの活動、両者の大きな違いは、「編集者」あるいは「ディレクター」といった、情報を編む人の存在です。

そこで今回は、実際にさまざまなメディアで編集者、ディレクターとして活躍されている方々にご登壇いただき、クリエイターとの関わり方や、優れたクリエイターの持つ要素などについて、お話を伺いました。

creator_vol03_01(写真左から、石澤さん、金井さん、杉田さん、林さん)

今回ご登壇くださったのは以下の4名です。

・石澤 かおる(いしざわ かおる) さん
NHK番組制作ディレクター。現在は「あさいち」「マサカメTV」を担当

・金井 茉利絵(かない まりえ) さん
株式会社Diverse所属、現在女性向けwebメディアAM編集長

・杉田 千種(すぎた ちぐさ) さん
小学館 所属。「週刊少年サンデー」編集部

・林 裕二(はやし ゆうじ) さん
番組制作会社イーエーユー株式会社 所属。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO(Navigator:別所哲也)チーフディレクター

トークセッションでは、6つの質問をもとにお話いただきました。
以下、質問と皆さんの回答です。

1 今どんなクリエイターと仕事をしてみたいですか?

石澤さん:「ひげ太夫」「生ハムと焼うどん」(※「ひげ太夫」は表現に組み体操を用いた劇団、「生ハムと焼うどん」は女子高生ガールズユニット)
自分の価値観で良し悪しが決められないものに出会いたい。

金井さん:新しい解決策を持っている人
分析だけでなく、既存のルールの範疇にない斬新な解決策を提示してくれる人。

杉田さん:どう直していいか逡巡するくらい圧倒的な才能のある人
「ここを直せば良い」がすぐにわからない作品を出してくる人、こちらがうろたえるような作品を出してくる人。

林さん:未来を見ている人
ラジオというオールドメディアで、未来を見据えて活躍できる人。

2 優れたクリエイターが持っている要素とは?

石澤さん:そこまでやるか感
パフォーマンス全てを放送できるわけではないが、本気の熱量は見る人に伝わる。

金井さん:温厚でリスクをとる人
好奇心のためにどんどん突き進む力をもってる、同時に温厚さをもっている人。
Webというメディアに合うことも重要。

杉田さん:その表現でしか世界と繋がれない不器用さ
すごい人は「変」な人。作品を通してしかコミュニケーションをとれない人。
「伝えたい!」「届けたい!」という強い思いをもっていることも重要。

林さん:物語(ストーリー)のある人
言葉と音でしか表現できない世界では物語、ストーリーが重要。
話し方より、一つの話からどれだけストーリーを膨らませるか。

3 「クリエイト:エディット」関わり方の理想の割合は?

石澤さん:5:5
テレビは興味の「入り口」・「エッセンス」を表現するもの。ディレクターはその人らしい一言を凝縮するのが仕事。

金井さん:7:3
Webでは一つの作品にコストや時間をかけられないため、媒体の軸にクリエイターが肉付けしてくれる形が理想。編集者はクリエイターを盛り上げるなど、雰囲気を出す。

杉田さん:9:1
編集者は絶対に作家には敵わない。できるだけ手を加えないで出す努力をしたい。
ただしストーリーライン・タイトル・キャラ設定など、アイデアは常時20個くらいストックしている。

林さん:7:3
「パーソナリティ」という以上、ラジオで話す人にはパーソナルな要素が求められる。編集者の役割はそのための準備。

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4 ディレクションするときに心がけていることは何ですか?

石澤さん:いとおしさ
取材対象へのいとおしさを持ち、番組にいとおしさを持ってもらえるようにする。
映るか映らないかわからなくても、映ったら面白そうなところにたねをまく(仕込む)。

金井さん:媒体からぶれない・説教臭さとすべりやすさをとる
恋愛について検索してくる読者は友達のよくあるアドバイス、それ以上のことを求めている。だから、面白く伝えることが重要。

杉田さん:本当に思っていることを引き出す・できあがったものはなるべく直さない・具体的な選択肢を複数用意する
その代わり、打ち合わせの準備を念入りにやる。

林さん:視点
ラジオは在庫をもたないサービス業。出し切ったら終わり。
これから喋る人のディレクションに重要なこと→話の中の視点をどこに置いてもらうか。

5 クリエイターにめんどくささっていりますか?

石澤さん:本気であれば上等
必要なこだわりだとわかれば重要。

金井さん:できれば少なめが
クリエイターの自己保身の目的であれば困る場合もある。

杉田さん:いるかいらないかといえば、いらない
編集者としては「めんどくさい」と思わないようにしたい。

林さん:必要
クリエイター自身が、めんどくささをいとわないで欲しい。

6 今クリエイターに求められる要素とは?

石澤さん:本音(「共感」も……)
テレビでは視聴者への共感も重要だが、発信者が本音でなければ顔に出る。ここ数年特に、嘘は嫌がられる空気感がある。

金井さん:したしみやすさ+あこがれ
隣で話せるかっこいい先輩、という距離感であこがれられること。

杉田さん:極端さ
「良い作品はオリジナリティがあって、極端で、癒着がある」※癒着とは広がりのこと

林さん:共感(+個人的には極端さ)
いいね!に終始せず、五感にささる共感。たくさんの人が聴くので、あらゆる人の共感を呼べること。

ノンフィクションやフィクション、ネットと書籍、映像と音楽など、全く異なるジャンルの作品を扱う4名にお話いただきましたが、意外にも質問の答えに、共通点や類似点が数多く見られました。特に最後の設問で複数の方にお答えいただいた「共感」と「極端さ」という2つの要素。「したしみやすさとあこがれ」という金井さんのお答えにも通じるように、本来、真逆の性質を持つ二つです。相反する要素を作品の中に、あるいは本人のパーソナリティにうまく共存させることこそ、今、クリエイターに最も求められている能力と言えるかもしれません。

コンテンツ・情報としての「食」

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トークセッションの後は、カジュアルな懇親会です。

「食」も一つのコンテンツであり、情報です。今回は、良質な食材を求め日本各地に足を運ぶ、料理人の安田 花織さんに、このイベントのためのお料理をお願いしました。安田さんには、スマートニュースで毎月開催している社内懇親会のお料理もご担当いただいています。

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今回、過去最多の100名を越える参加者にご参加いただいたSmartNews Contents Creators Meetup、次回は2016年2月に開催予定です。告知はスマートニュース公式TwitterアカウントなどのSNS上で行います。クリエイターのみなさん、ぜひお気軽にご参加ください。

●スマートニュース公式Twitterアカウント
https://twitter.com/SmartNewsInc_jp

【参加者の皆さんによるイベントレポート、ツイートまとめ】

・打ち合わせ「前」と「最中」と「後」、どれを大切にするかという質問で分かった編集者としてのダメさ具合 #スマニュー – @ui_k mnmn_blog
http://uimn.hateblo.jp/entry/uchiawase

・イベント。- くげ物語
http://amba.to/1LCVuLR

・生き残るクリエイターの特徴3つ「①極端」「②温厚」「③作品でしか思いを伝えられない」は覚えておくべき #スマニュー – らふらく^^ ~ブログで飯を食う~
http://laugh-raku.com/archives/20289

・クリエーターとして。-あなたと「あいまみえる」ブログ
http://amba.to/1HriylX

・11/26SmartNews Contents Creators Meetup vol.3トークセッション
「編集〜情報を編むチカラ〜」まとめ – Togetterまとめ
http://togetter.com/li/905496

多くのみなさまにご参加いただきまして、誠にありがとうございました!